登山

【恐怖】登山初心者がホワイトアウトに突っ込んだ結果/対処法を考える

雪山登山において危険なこと、ホワイトアウト

雪山はもとより登山初心者である僕が、ホワイトアウトの蔵王山(熊野岳)に突っ込んだ時のことをお話しします。

冬山には登ってみたいけど、危険そうだし怖いのでなかなか行く勇気が出ない・・・

という方のために、ホワイトアウトの対処法について考えてみたいと思います。

 

ホワイトアウトの恐怖体験/2月の蔵王山にて

僕は登山を初めてまだ1年未満、冬山に関しても1年生です。

ですが、必要な装備や危険への対処法について調べ上げ、もう何度か挑戦し、登頂もしています。

 

2月の蔵王山は、樹氷のベストシーズンということもあり、ぜひ見てみたいと思い、決行しました。

天気予報は悪かったのですが・・・

 

詳細なレポートはヤマップに書いていますので、こちらもよかったらご覧ください。

 

決行当日は、スタート地点のライザワールドスキー場についた時点でかなり視界が悪い状況でした。

それでも行けるところまで行ってみようと思い、進みました。

樹林帯を抜けると、一気に風が強くなり(風速15mくらい)、視界がさらに悪くなります。

 

そこからさらに登り、刈田岳付近の稜線に上がると、風速は20m越え、視界は5m先の道標ポールがかろうじて見えるくらいになっていました。

熊野岳近くの避難小屋に到着する頃は、風速30m近く、足元すら見えない状況でした。

 

あまりにも恐ろしい環境に、たまらず避難小屋に転がり込み、その先の行動を考えました。

このまま熊野岳を目指すのは危険すぎると判断し、引き返すことに。

 

ヤマップのGPSを頼りに、なんとかルートを見失わずに済み、顔面が凍りつきながらもギリギリ生還することができたのです。

晴れていれば美しい樹氷も、吹雪ではただの白いモコモコ

 

 

ホワイトアウトで起きること

雪山登山でホワイトアウトに遭遇するとどんなことが起きるのか、実際に僕が体験したことをベースに挙げてみたいと思います。

 

まっすぐ歩けなくなる

まず、自分がどの方向に進んでいるのか、わからなくなります。

人間って、ただまっすぐ歩くのにも視覚に頼っており、何か目標物を目視することでまっすぐ歩けます。

 

ホワイトアウトの状況下だと、当然周りが真っ白ですから、目標物が何もない。

実際、10メートルくらい歩いてGPSの軌跡を確認すると、まっすぐ向かったつもりが随分左のほうにズレていました。

こまめにGPSを確認しないと、一定の方向に進むことすら困難です。

道標を頼りに進んでいくも・・・そのうち見えなくなる

 

山の傾斜がわからなくなる

自分の足元すら見えませんから、一歩先が登りになっているのか、下りになっているのかもわかりません。

斜面と空も一体化してしまうので、上も下もわからなくなってしまいます。

 

足元がわからないのですから、なんどもつまずき、転倒を繰り返しました。

刈田岳から蔵王山の稜線上は、急な崖の地形が無かったので無事でしたが、もし切れ落ちた尾根だったとしたら、簡単に滑落していたでしょう。

 

スマホの電源がすぐに落ちる

極低温下では、スマホの電源がすぐに落ちます。

雪山でホワイトアウトになる状況は、間違いなくかなり気温が低く、風も強い環境です。

 

そのような環境下だと、バッテリーの消費自体が早まり、さらに恐ろしいのが、

バッテリー残量があっても電源が落ちる

ということです。

 

実際、この時の僕の場合、スマホのバッテリー残量40%の時点で強制シャットダウンが起きました。

思っていたよりも相当早く切れてしまったため、かなりの恐怖を感じました。

熊野岳のルートは、多くの区間で道標ポールが立っていたため、なんとかルートを見失わずに助かりました。

 

その場にとどまることが恐怖に感じる

ホワイトアウトの状況は猛吹雪であることがほとんどだと思います。

そのようなかなり厳しい環境に一人でいる、ということだけで恐怖を感じます。

実際、「この場にいてはいけない!」と感じていました。

生物が居ていいような場所ではないのです。

 

いや、もちろん単独でそんな場所にいてはいけないのですが、とにかくとどまってはいけない、と感じてしまうんですね。

確かに、ホワイトアウト下で止まっていると、たちまち体温が奪われ寒くなってしまうため、動かないといけないのですが、

実際にはホワイトアウトだけではすぐ死にません。

 

ですから、焦ってむやみに動くことの方が危険なのです。

パニックになって道に迷ってしまうことがあるのも、こういった心理が影響すると思われます。

 

冷静な判断ができない

とにかく環境がヤバすぎるので、経験がないと思考が回らなくなります。

実際、僕が危険な状況に陥ったのも、判断を誤ってギリギリまで突っ込んでしまったことに原因があります。

 

僕の場合は、その先の道標ポールが見えなくなった時点ですぐ引き返すべきでした。

当時のことを振り返ると信じがたいのですが、なんと道標ポールが見えなくなり、さらに時刻も午後2時近くなっていたにも関わらず、

「頂上に行ける」

と考えていたのです。

 

正午を過ぎた時点で山頂近くにいるのでは遅すぎるし、目印もない状態で山頂を目指すなんて危な過ぎます。

その先の避難小屋で一旦落ち着いたことで、それは無謀すぎるということに気が付いたのです。

 

バラクラバで呼吸困難になる

下山時の進行方向は西だったので、暴風を正面から受ける形でした。

焦りのせいで呼吸が荒くなり、息の結露でバラクラバの口の部分が濡れてしまいました。

口を覆う布が濡れていて、正面から風を受けると、顔に張り付く形になります。

そうなると、ほとんど呼吸ができません。

たまらずバラクラバの口部分を顎まで下げましたが、これは顔面凍傷の危険があります。

 

これはホワイトアウトだからこうなった、というわけではないのですが、通常よりも多くの緊張を強いられる状況では起こりうることだと思います。

 

軽く滑落した

これはホワイトアウトによる視界不良に起因します。

足元も見えないため、路面の状態が全くわかりません。

 

下山時、道標ポールのすぐそばを歩いていたにも関わらず、本来の登山道のすぐ横にある、ちょっとした谷に落ちてしまいました。

崖というほどの落差はないが、小規模な谷地形になっている場所ってよくありますよね。あれです。

 

猛吹雪が降ると、そういった地形は吹き溜まりになり、フカフカの新雪が積もります。

そこに落ちてしまったので、腰上までズボッと埋まりました。

落差がそんなに無いとはいえ、腰まで埋まった急斜面を這い上がるのはかなり困難です。

 

焦りからどれくらいの時間もがいたかはわかりませんが、アリ地獄状態になって脱出に苦労しました。

ストックを横向きに使ってなんとか這いだしましたが、極寒・暴風・ホワイトアウト・視界ゼロ・呼吸困難・スマホ切れ の状態で全く進めないのは、この上なく恐怖でした。

 

暴風に煽られ転倒

てんきとくらすによると、当日の風の予報は山頂付近で風速27~29m/sとなっていました。たしか。

正直ちょっと大げさに書いてるんじゃね?とか思ってましたが、おそらく本当にそういう風でした。

 

風速の目安

25m/s

・山では遭難事故も起きる
・耐風姿勢を取らないと吹き飛ばされる

晴ノートより引用

そうそう、そんくらい。

風でひっくり返されたのは初めてでした。

これがもし、急峻に切れ落ちた稜線上だったら、滑落ラクショーでしょう。

 

目が開けられない

先ほども書きましたが、下山時は向かい風を受ける形でした。

危険なことに、僕はスノーゴーグルを装備せずに入山していました。

 

風速20メートルだと、飛んでくる雪(というか氷)もエアガンのような威力で乱射されてきます。

当然、正面をまともに見て歩くことができません。

 

ホワイトアウト下では、多くの場合暴風が伴うと思います。

ただでさえ視界が悪い中、目の保護ができなければ命にかかわります。

 

今回の蔵王山では多くの区間で道標ポールがあったため、なんとかなりました。

どうせなんも見えないので、ポール間は目をつぶって、目が潰れないように温存したのです。

 

スマホの操作が困難・さらに充電コードが刺さらない

猛吹雪の中でスマホを操作するのは、かなり困難です。

滝に打たれながらスマホを操作する状況をイメージしてもらえればちょうどよいと思います。

ですから、意識を強く持って冷静さを保たないと、スマホのGPSを正しく認識することすら難しいです。

なので、スマホがあれば安心 などとは絶対に思わないでください。

 

また、スマホが切れたので充電しようとしたところ、なんと充電穴に雪が詰まってガチガチに凍り、プラグが刺さらないという事態が起きました。

その時はすでに、下山ルート終盤だったためことなきを得ましたが、もし本格的に道迷いした後にそうなったらと思うと恐ろしいです。

 

お湯やホッカイロで溶かせばいいじゃん、などとは考えないでください。

ホッカイロなんて全く発熱力が足りない(極熱タイプは試してないのであるいはいけるかもだが)し、猛吹雪の中で落ち着いてお湯を沸かすなんてほぼできないです。

風を遮り、安全を確保した上で万全のビバークでもできない限りは。

 

ホワイトアウトの対処法を考える

上記の経験を元に、ホワイトアウトへの対処法を考えたいと思います。

まずは回避するのが最も優先

ホワイトアウトになった場合の対処よりも、遭遇しない、もしくは無理に突っ込まないことが最も大切です。

ホワイトアウトの状況で山にいることは、それだけでかなり危険です。

なので、できる限り回避しましょう。

 

そのためには、当たり前ですが事前にしっかり天気予報を確認しておきましょう。

山の天気サイトやアプリなどが便利です。

 

サイト

アプリ

 

とはいえ、山の天気は変わりやすいものです。

もし、天気が急変したら、本格的にホワイトアウトになる前に、来た道を引き返しましょう。

山頂に近づくほど、環境の厳しさは増します。

 

むやみに歩かず、GPSを確認

ホワイトアウトで視界がなくなってしまうと、まっすぐ歩けません。

目印も全く見えなくなります。

なので、焦って歩き回ってしまうと、いつの間にかあり得ない方向に進んでしまいます。

 

そうなれば余計にルートがわからなくなってしまうので、落ち着いてGPSで現在地を確認してください。

GPSは、専用のガーミンなどのGPS、スマートウォッチのGPS、スマホアプリのGPSなどがあります。

多くの人は登山アプリのGPSを使用しているかと思いますが、もしいずれも使ってなければ、冬山に登ってはいけません。絶対。

 

紙の地図とコンパスも大事ですが、視界が無くなればそれだけで現在地を把握するのは不可能と考えてよいと思います。

 

スマホやスマートウォッチのGPSも使えるのは使えますが、できれば登山専用のGPS端末がいいと思います。

理由は、スマホは低温下でかなり早くシャットダウンするからです。

スマホは緊急連絡用に温存しておかなければいけません。

僕は、今回の経験で、スマホのGPSだけでは不足だと強く感じました。

 

事前に紙地図を用意する

これはアナログな方法ですが、事前に紙の地図を用意し、ホワイトアウトナビゲーションを作成しておくこともやはり重要だと感じました。

なぜなら、事前に地図を作成することで、ルートの概要や地形があらかた頭に入るからです。

 

危険な箇所はあるのか?崖など急な地形はどのあたりにあるのか?

などが事前にわかっていれば、ホワイトアウトで視界が悪くなっても、注意することができます。

その場で詳細な地形情報を確認するのは無理だと思ってください。滝に打たれながら地図読みをするようなものです。

 

事前のリサーチで危険箇所が無いとわかっていれば、落ち着いてホワイトアウト下でもある程度落ち着いて行動することができます。

 

しかし、先ほども述べたように、地図とアナログのコンパスだけでは、現在地の把握、正確な方向への進行はできません。

GPSとの併用をしましょう。

 

安全な地点で早めにスマホを充電

避難小屋や風を避けられる安全地帯があれば、そこで早めにスマホを充電してください。

 

僕の例の場合は、バッテリー残量40%でシャットダウンしました。

さらに、途中何度も転倒したこともあり、スマホの充電穴に雪が詰まって充電不可能になりました。

 

なので、安全が確保できる時点で、早めに充電しましょう。

熊野岳避難小屋。
ここで落ち着いて充電しとくべきだった

 

ゴーグルは必須、できれば明るいレンズを

僕の失態はゴーグルを装備していなかったことです。

そのため、目が見えなくなるかもしれない恐怖を味わいました。

 

もし、僕のように、サングラスで代用できると思っている馬鹿者がいたら、必ずゴーグルを用意してください。

 

そして、ゴーグルのレンズはなるべく明るいものにしてください。

ピンク系か、オレンジ系、もしくはクリアレンズですね。

雪山登山でのゴーグルの用途は、眩しさ軽減ではなく、目と顔の保護です。

保護しなければならない環境というのは、風が強く吹雪いている時であるため、つまり暗い時 ということになります。

 

なので、レンズが眩しさ重視の暗いものだと、ぜんぜん見えません。

写真中央にかすかに見えるポール。
これくらい見えない

 

ホワイトアウトの恐怖を知り、適切な対処で安全に!

今回の僕のレポートで、ホワイトアウトがどんな危険を孕んでいるか、具体的におわかりになったのではないでしょうか。

実際に経験しないとわからない部分もありますが、なるべくならホワイトアウトなんて経験しない方がいいですよね。

その1度の経験が命取りになってしまう場合もありますから。

 

なので、もしもの時のために、今回紹介したお話を参考に、少しでも安全に登山を楽しまれるよう、願っておりますぞ。

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